「落日」はネガティブな印象を持つが、再生がテーマにもなっている。
主たる二人が一人称で、頭に湧出してくる微細な描写が、いまそれを思ったりしたのは誰だ?と、読者を混乱させたりした。
「人生って一本の線じゃないと思うんです。いろんな線が縄みたいにからみあっていて、その中には、大切なものもそうじゃないものもある。大切なものを守るために、そうじゃないものを断ち切ることもあると思うし、一本ばかりぶつ切りになっていても、意識していないだけで、しっかりと繋がっている線ってありますよ。」
一挙に再生に向かうエピローグ。
「父が最後に見た景色は、わたしをその向こう側、次の世界へと導いてくれるに違いない。
そして、いつか、わたしの描いた景色で、次の世界に行くことができる人が、それを希望として感じる人が、一人でも多く現れてくれればいい。
そうなればわたしは、この世に自分が存在していることに、誇りを持つことができそうだ。
映画を撮ろう。撮り続けよう……。」
湊かなえ『落日』読了記
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